金沢、二泊三日の歩き方

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金沢を歩いていると、この街がどうしてこんなに歩きやすいのかが分かってきます。見どころが散らばっていない。兼六園から近江町市場まで歩いて二十分、そこからひがし茶屋街までさらに十五分。三日あれば、地図を畳んだまま街の骨格が頭に入ります。

一日目:中心から始める

昼に着いたなら、荷物を置いてまず兼六園へ向かってください。朝いちばんの静けさは翌日に取っておけばいい。初日は人の多い時間の兼六園で構いません。むしろ、あの庭が観光地としてどう機能しているかを先に見ておくと、翌朝の無人の景色が効きます。

隣の金沢城公園は入園が無料で、石垣を見に行くだけでも価値があります。金沢城の石垣は積み方が時代ごとに違っていて、同じ城の中で技術の変遷が並んで残っている場所は多くありません。案内板を三枚も読めば、あとは自分で見分けられるようになります。

夕方は21世紀美術館へ。閉館間際の一時間が空いています。円形の建物なので順路がなく、どこから見ても構わないという構造そのものが展示の一部です。

二日目:朝の市場と茶屋街

近江町市場は九時前に行ってください。十時を過ぎると通路が観光客で埋まり、店の人と話す余地がなくなります。朝のうちなら、その日の魚がどこで揚がったものかを教えてもらえます。海鮮丼の行列に並ぶかどうかは好みですが、並ばずに市場の中の立ち食いで済ませるほうが、市場らしい時間を過ごせるとは思います。

ひがし茶屋街は、格子戸の連なりを見るだけなら三十分で終わります。ここは中に入ってこその場所で、志摩や懐華樓のように公開されている茶屋建築に上がると、二階の座敷の天井の低さや、客を迎えるための動線の作り方が体で分かります。外から写真を撮るだけで帰るのは、正直もったいない。

午後は主計町へ。ひがし茶屋街から浅野川を渡ってすぐですが、観光の密度が一段下がります。暗がり坂を上って久保市乙剣宮に抜ける道は、地元の人が今も通勤に使っている生活の道です。

三日目:寺町と、帰る前の一時間

三日目の朝に兼六園をもう一度。開園直後は本当に人がいません。同じ庭とは思えないほど音が違います。

そのあと犀川を渡って寺町へ。忍者寺の通称で知られる妙立寺は予約制で、拝観は案内付きの時間指定です。前日までに電話しておく必要があるので、行くつもりなら初日に決めてください。寺町台の界隈は寺が七十以上あって、ただ歩いているだけで塀と屋根が続きます。

歩く距離について

二泊三日で、一日あたり八キロから十キロほど歩くことになります。金沢はバスの路線が充実していて、城下まち金沢周遊バスも走っていますが、この街の面白さは道と道のあいだにあるので、天気が許すなら歩くことを勧めます。逆に言えば、靴は選んだほうがいい。金沢は雨と雪の日が多い街です。

冬に行くなら、傘は持っていくものではなく、現地で買うものだと思っておくと気が楽です。